特別支援学校に通う子供たちにとって、プログラミング教育は大きな可能性を秘めています。
一人一人の特性に合わせた学習方法を取り入れることで、論理的思考力や問題解決能力を育むことができるのです。
しかし、どのようにプログラミング教育を実践すればよいのでしょうか。
ここでは、特別支援学校でのプログラミング教育の具体例をご紹介します。
視覚的なプログラミング言語の活用
特別支援学校の子供たちの中には、文字の読み書きが苦手な子もいます。
そこで効果的なのが、視覚的なプログラミング言語の活用です。
Scratchを使ったプログラミング学習
Scratchとは、アメリカのスクラッチ財団とマサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボが共同開発した、子供向けのプログラミング学習ソフトです。
Scratchは、ブロックを組み合わせてプログラミングができる言語で、直感的に操作できるのが特徴です。
キャラクターを動かしたり、音を鳴らしたりと、楽しみながらプログラミングの基礎を学べます。
色や形のついたブロックを使うことで、文字が読めなくても、論理的な思考力を養うことができるのです。
ビジュアルプログラミング言語「Viscuit」
Viscuit(ビスケット)は、原田康徳氏によって作られたユニークなビジュアル言語です。
図形の組み合わせでプログラミングできるため、抽象的な概念が苦手な子供たちでも取り組みやすくなっています。
また、自閉症の子供たちの得意な部分に着目して設計されており、パターン認識や規則性の発見を促すことができます。
個々の特性に合わせた学習
特別支援学校では、一人一人の障害の特性や学習上の困難さが異なります。
そのため、画一的な指導ではなく、個別のニーズに合わせた学習が求められます。
読み書きが苦手な子供への支援
読み書きが苦手な子供たちには、文字情報を補助するための工夫が必要です。
例えば、ブロックに色をつけたり、絵や写真を組み合わせたりすることで、視覚的に理解しやすくなります。
また、音声読み上げ機能を使って、文字の説明を聞くこともできます。
身体の不自由な子供への対応
身体の不自由な子供たちには、入力デバイスの工夫が欠かせません。
通常のキーボードやマウスが使えない場合は、大きなボタンのついた専用のキーボードや、視線入力装置などを活用します。
タブレット端末を使えば、画面に直接触れて操作することもできるので、プログラミングへのアクセシビリティが広がります。
プログラミングを通した社会とのつながり
プログラミング教育は、子供たちが社会とつながるきっかけにもなります。
自分の作品を発表したり、他者と協力して課題を解決したりする経験は、コミュニケーション能力の向上にもつながります。
プログラミング作品の発表会
子供たちが作ったプログラミング作品を、クラスや学校で発表して自分の作品を人に見てもらうことで、達成感や自己肯定感を味わえます。
また、友達の作品を見ることで、新しいアイデアを得たり、刺激を受けたりすることができます。
まとめ
特別支援学校でのプログラミング教育は、子供たちの可能性を引き出す大きな鍵となります。
視覚的なプログラミング言語の活用や、個々の特性に合わせた学習支援により、論理的思考力や問題解決能力を伸ばすことが期待できます。
また、プログラミングを通して社会とつながる経験は、子供たちの自立と社会参加を後押しします。
特別支援教育とプログラミング教育の可能性を広げていくことが、インクルーシブ教育の実現につながると思います。