親亡き後の「成年後見人制度」の利用

知的障害を持つお子さんの親御さんの中には、ご自身が亡くなられた後のお子さんの生活が心配という方も多いと思います。

判断能力が不十分な成人のための制度で「成年後見人制度」という制度があります。

成年後見人制度は、判断能力が不十分な成人のために、法律行為や日常生活を支援するための制度です。

親亡き後に成年後見制度を利用することは、判断能力が不十分な方の生活を支え、権利を守るための有効な手段となります。

本記事では、成年後見人制度のメリットとデメリットをわかりやすくご説明したいと思います。

メリット

メリットとしては、まず、本人の財産を適切に管理し、悪徳商法や詐欺などから守ることができます。

「本人の財産を適切に管理」とは、成年後見人が本人のために、その財産状況を把握し、必要な支出を行い、財産を増減させないように注意深く管理することを意味します。

具体的には、次のような行為が含まれます。

  • 財産の調査: 預貯金、不動産、有価証券などの財産を調査し、その内容を明確にします。
  • 収支の管理: 年金や給与などの収入、光熱費や食費などの支出を管理し、家計簿などをつけながら収支のバランスを保ちます。
  • 預貯金の管理: 預貯金の出し入れを管理し、必要な手続きを行います。
  • 不動産の管理: 不動産の維持管理、賃貸借契約の締結・更新などを行います。
  • 税金などの支払い: 税金、社会保険料などの支払いを適切に行います。
  • 遺産の相続: 本人が相続人になった場合、相続手続きを行います。
  • 投資・運用: 本人の財産状況に応じて、預貯金、株式、投資信託などへの投資・運用を行います。ただし、リスクを伴うため、家庭裁判所の許可が必要な場合があります。

また、介護や医療などの必要なサービスを受けられるよう、手続きを代行したり、施設への入所を支援したりすることができます。

さらに、本人の意思を尊重しながら、日常生活をサポートし、安心して暮らせるよう見守ることができます。

デメリット

しかし、デメリットも存在します。

成年後見制度を利用するには、家庭裁判所への申立てや成年後見人への報酬など、費用がかかります。

また、手続きには手間と時間がかかり、場合によっては本人の自由が制限されることもあります。

さらに、成年後見人との相性が合わない場合は、トラブルが生じる可能性もあります。

成年後見人との相性が合わない場合は、様々なケースが考えられます。

一例として以下のようなケースが考えられます。

  • 性格や価値観の不一致: 後見人と本人の性格や価値観が合わない場合、コミュニケーションがうまく取れず、信頼関係を築くのが難しいことがあります。例えば、後見人が慎重すぎる性格で、本人が積極的な性格の場合、生活の細かな部分で意見が衝突する可能性があります。
  • 生活スタイルの違い: 後見人と本人の生活スタイルが大きく異なる場合、相互理解が難しく、ストレスを感じてしまうことがあります。例えば、後見人が規則正しい生活を重視する一方で、本人が自由な生活を好む場合、生活リズムの違いから摩擦が生じる可能性があります。
  • コミュニケーション不足: 後見人が忙しくて、本人に十分な時間を割いてくれない場合や、報告や相談が不足している場合、不安や不満を感じることがあります。
  • 親族間の意見の対立: 後見人が親族ではなく、専門職の場合、親族が後見人の判断に納得できない場合や、後見人の方針と親族の希望が異なる場合、意見の対立が生じることがあります。
  • 価値観の押し付け: 後見人が自分の価値観を押し付けたり、本人の意思を無視したりする場合、不信感や反発心を抱くことがあります。

特に、親亡き後の場合、本人は頼れる人が限られているため、後見人との関係がより重要になります。

相性が合わない後見人だと、本人の精神的な負担が大きくなり、生活の質が低下してしまう可能性も考えられます。

このような事態を防ぐためには、後見人を選ぶ際に、本人の性格や生活スタイル、希望などを考慮することが大切です。

また、後見人との定期的な面談やコミュニケーションを大切にし、疑問点や不安なことは遠慮なく相談することが重要です。

もし、後見人との相性がどうしても合わない場合は、家庭裁判所に後見人の変更を申し立てることも可能です。

ただし、変更が認められるには、正当な理由が必要となります。

まとめ

本記事では、成年後見人制度のメリットとデメリットを説明させていただきました。。

まとめ

親亡き後に成年後見制度の利用を検討する際は、これらのメリットとデメリットをよく理解し、本人の状況に合わせて慎重に判断することが重要です。

地域包括支援センターや市区町村の窓口に相談することで、成年後見制度について詳しく知ることができます。

成年後見人制度は、複雑な制度であり、手続きも煩雑です。ので、

ご興味のある方は弁護士や司法書士などの専門家にご相談されることをお勧めします。